セミは朝死ぬ
地面がないので道路に下りて
縁石の端っこにつかまって
とぎれとぎれに鳴いている
ミ ミ ミ ミ

やんちゃなスズメがつつく
ミ ミ ミ ミ
遠くの森で若者たちは
すでに狂ったように雄叫びをあげている
聞いているのかいないのか
喧噪のあとの沈黙

薄オレンジ色の雲は
夜の残したため息
まだ少しだけ涼しいホームの先端は滑走路
あかりの下に散らばった虫たちの死骸を蹴散らし
機首を水色の空に向けた

沈黙のあとになにを話そう
あたしののぞむ変化かどうかはわからない
だけど確実に
あたためられる肌
ふと顔をあげると
大きな太陽がオレンジ色の粒子を
こちらに勢いよく投げている
ミ ミ ミ ミ
セミが転がる