短編集「停電の夜に」読了。
イギリス生まれアメリカ育ちのインド人の若手女流作家。
これはほめ言葉としてですが
インド版江國香織「号泣する準備はできていた」って感じ?
とくに前半の夫婦の機微を描いた数編は。
年齢もたぶん近いし。

でもさらによかったのは後半の数編。
あたしが一番好きなのは
「神の恵みの家」でしょーか。
頑固な夫も、夫をたてられない無邪気な妻も
どちらも人間として愛おしい!

あと、インドの方の文学にあまり慣れていないので
文化的な表現もめずらしく面白く旅をしてるみたい。

善悪とかそういうさまざまな判断を
究極のところでは超越させているその描き方が
わかりやすい読後感は残さずとも
人生へのそこはかとない愛(と希望)を呼び起こします。
もちろん切なさや無情さの裏返しとして。

万事塞翁が馬